日立プラントテクノロジーの仕組み
日立プラントテクノロジー - 流体MEMSによる分子拡散効果とは
流体MEMS(メムス)による分子拡散効果とは
以下の図は、流路に赤と青の2液を流して合流させている様子です。 左が流路幅が1mmの場合で、右が流路幅が0.11mmの場合です。両者を比べてみると、0.1MMのほうが直に混ざり合っているのが良く分かります。流路幅Lと混合時間tとの関係はこの様な式で表わされるので、流路幅を1/10にすると100倍早く混ざる原理になります。この様に流路を微細化することで分子拡散効果が得られます。
混合用流体MEMSチップとは
マイクロプロセスサーバーの心臓部である流体MEMS(メムス)チップは、日立製作所の研究所にて設計・製作されます。以下の写真はオリジナルのステンレス製・SUS2液混合用流体メムスチップです。
2液混合用流体MEMSチップの設計
この流体MEMS(メムス)チップは2液(2えき)を混合するタイプです。世界トップレベルの微細加工技術により髪の毛よりも細い流れを幾重にも形成し、重ね合わせることで、隣り合う流れ間での分子拡散だけで均質な混合を実現しました。
流体シミュレーションによる混合性能の予測
流体MEMS(メムス)チップの設計にあたっては、事前に独自の流体シミュレーションを行い、最適な混合特性が得られる流路形状を検討いたします。
反応収率向上例
マイクロプロセスサーバーによる反応収率については、滴下反応との比較を見てみましょう。薬品、化学品分野などで一般的な評価方法であるブロム化反応とニトロ化反応試験を行なった結果、ブロム化反応の場合、マイクロプロセスサーバーでは、反応目的物であるモノブロム体の収率は 98.6%であり、従来のバッチ処理に比べて約1.7倍の高い反応収率を実現しました。すなわち、お客様の原材料や、その反応によって出る副産物の量が少なくなり、大幅な製造コストの低減が可能となります。
2液混合例
流体メムスチップを組み込んだ2液混合用マイクロプロセスサーバーは、2個のシリンジポンプ、バルブと流体メムスチップ、温調機器で構成されています。操作はWindowsベースのグラフィカルユーザーインターフェースをご用意していますので、モニター画面を見ながら、簡単かつきめ細かに、流量、温度などの設定ができます。
濃縮用応用例
マイクロプロセスサーバーでは混合だけでなく、濃縮も可能です。濃縮用メムスチップ上で、減圧低温蒸発、気液分離を行ないます。そのため、加熱による成分の変質もなく、高品質に原料を濃縮することができます。
濃縮用システム プロト機
濃縮用のプロト機です。流体MEMS(メムス)チップを32枚組合せ、原料の10倍の濃縮液を抽出することができます。食品や化粧品、医薬品など、試作開発から量産設備まで対応しています。