バイオジェニックス HS-1 ~ 「キムチ乳酸菌」のちから ~
バイオジェニックス 乳酸菌体粉末 HS-1▪ 漬物・キムチのスクリーニングにより発見
▪ 抗生物質の代替を可能にする「安心・安全」素材
▪ 豊富なエビデンス
▪ 他の製品より2桁以下の低用量で効果を発揮
高まる「安心・安全」の流れ
食物への安心・安全は、持続可能な開発ゴール時代を迎え、ますます大きな流れとなっております。
動物性蛋白でも安心・安全の流れが世界で広がり、2015年5月、WHOが薬剤耐性の恐れから成長促進目的での抗生物質の飼料への使用を制限、又は慎重使用をすることが推奨されました。
そして2017年7月、長く耐性菌ができにくいという事で認められていた硫酸コリスチンがバージニアマイシンとともに日本の飼料添加物リストから削除されました。
この流れは世界各地に広がり、 抗菌性物質に置き換わる新たな物質の探索が加速しています。
畜水産業界では、これまで生きた生菌で腸内フローラを整えるプロバイオティクス、腸内フローラを整えるオリゴ糖などのプレバイオティクスが下痢の予防・治療に長く用いられております。
そして今では腸内フローラを介するのでなく、腸管免疫を直接刺激することで腸管内、あるいは全身の免疫を高めるバイオジェニクスが新たに伸びております。
- PDF資料(パンフレット)「バイオジェニックス HS-1」はこちら
- PDF資料(プレゼンテーション)「バイオジェニックス HS-1」はこちら
バイオジェニクスとHS-1の発見
そんな新たなバイオジェニックスですが、漬物である美味しいキムチのスクリーニングで、他の菌と比べて極めて少量摂取で大きな免疫賦活効果のある乳酸桿菌が見つかりました。それがLactobacillus sakei HS-1です。安心・安全でありながら、極く、少量で大きな免疫を高める新たなバイオジェニックス・HS-1は抗菌性物質に置き換わる新たな素材です。
HS-1の特徴
- 学名: Lactobacillus sakei HS-1
- 発見者: 橋本俊郎 (茨城県工業技術センター副センター長) (日本特許 No.3091196: 1999 10/27)
- 発見の詳細: 美味しいキムチをスクリーニングしている際、発見された。
- HS-1の特性:
- 乳酸のみを産生し、発酵時に炭酸ガス(CO²)を産生しない。(ホモ発酵乳酸)
- 余剰乳酸は生成せず、pH4になると発酵が止まる。
- 漬物にも使われていたため、食塩耐性が高い 。(食塩耐性は 8%)
- 病原菌は30~40℃で増殖しやすいが、HS-1は病原菌が発育しにくい15~20℃の温度で良く発酵する。
HS-1の働き
HS-1の働き- 細胞性免疫と液性免疫の両方を活性化させ、病原菌や毒素、ウイルスなどから守ります。(③、⑤、⑥、⑦)
- 腸管だけでなく、全身の免疫を強化し、維持します(⑧)。
- 小腸絨毛のターンオーバーを改善し、長くしたり拡大化させ、吸収性腸管上皮細胞の面積を広げ、機能を高める(⑨) 。
- 他の生菌乳酸菌や死菌体より桁数の少ない用量で効果を発揮します。
- 生菌と異なり、加工時の熱や保存条件に特別な注意が要らない。
(画像をクリックすると拡大します)
(画像をクリックすると拡大します)
- HS-1は細胞性免疫を活性化し、マクロファージなどの免疫細胞を増やしたり、貪食能を活性化し、細菌や毒素、ウイルスなどから守る。 (自然免疫・貪食能強化:③)
- HS-1は液性免疫を活性化し、IgA産生を促進、腸管粘膜への分泌量を増やし、腸管内の細菌を不活化させたり、毒素やウイルスを中和させ、糞便へ排出する。 (腸管の獲得抗体強化:⑤、⑥)
- HS-1により増産されたIgAは、腸管粘膜だけでなく、血管やリンパ系を通して全身のあらゆる粘膜(口、鼻、耳、肺、尻、膣など)へも分泌され、一度攻撃を受けた細菌や毒素、ウイルスから効率よく守ります。(全身の免疫強化:⑧)
- HS-1により増産された分泌型IgAを産生する形質細胞も血管やリンパ系を通して、全身に広がるため、一定期間、同じ外敵への抗体・IgAの産生力が全身で維持される。(獲得抗体の維持・強化:⑧)
- HS-1により増産されたIgAは病原菌などの表面に結合し不活化するが、この結合したIgAは、T細胞により情報を得ているマクロファージなどの免疫細胞が持つFcレセプターという受容体で認識され易く (オプソニン化)、貪食され易くなる。(貪食能の強化:⑦)
- 抗生物質や抗菌性物質は病原菌だけでなく、善玉菌も抑制するため、血液中の抗体IgG(血漿IgG) を減少させる傾向があるが、HS-1はこの血漿IgGを減少させず、抗体活性を維持する。(血漿IgAの抗体活性維持)
- HS-1は、腸管の絨毛のターンオーバーを改善し、絨毛を長くしたり拡大化させ、吸収性腸管上皮細胞の面積を広げ、機能を高める。(絨毛の機能向上:⑨)
- 1 x 108個/g粉末を0.02%の飼料への添加で効果が確認されており、一般的な生きた乳酸菌や死菌体の乳酸菌より2桁低い1/100の低用量で商品化されている。 (低用量バイオジェニクス)
- 生菌と異なり、加工時の熱や保存条件も特別な注意は要らない。(耐熱・保存安定性)
HS-1の試験結果
1.活性マクロファージの免疫賦活活性 (in vitro)試験場: 全農家畜衛生試験場
結果: 1) マクロファージは、以下の濃度での免疫活性は示さなかった:
HS-1 10μg、 E.coli 0.1μg、 LPS 1ng
2) しかし、HS-1 の単独では活性を示さなかった10μgで活性化させてからE.coli (0.1μg)、
E. aerogenes (1μg)、LPS (1ng) を加えると、マクロファージは対照区より活性が著しく向上。
3) さらにHS-1(10μg)と殺菌処理したE.coli (0.1μg)で事前培養することにより、マクロファージの
E.coliの貪食能 (結合 力) は、ほぼ3倍の活性能力を示した。
これは、マクロファージがより多くの微生物結合レセプターを獲得したことと、貪食能力が向上したことに
よることを示唆している。
Ref: 特許第5525180号明細書より
2.マウスの免疫賦活活性(各区10匹)
試験場: 全農家畜衛生試験場
結果:1) 対照区では、大腸菌の経口投与後1日で80%のマウスが死亡した。
2) HS-1懸濁液区では、 2,500μg/ml区と500μg/ml区は7日目まで100%生存し、50μg/ml区でも
90%が生存。
これは、HS-1の安全性を示唆するだけでなく、免疫に対しても非常に強い活性を示すことを示唆してい
る。
Ref: 特許第5525180号明細書より
3.豚の免疫賦活および増体重効果 (10~70キロまで各8頭)
試験場:兵庫県立農林水産技術総合センター
結果:1) 下痢:ほ乳期にはすべての区で軽度の下痢が散見されたが,無薬区が有意に多かった
(pく0.05)。
2) 1日平均増体重:ほ乳期ではHS-1区が701gで、無薬区の609gに対して有意に増加し
(pく0.01),子豚期もHS-1区が 792gで、無薬区の722gに対して有意に増加し (pく0.05),
両期間ともにHS-1区は有薬区に近い発育を示した。
3) 飼料要求率:HS-1区と有薬区が子豚期および育成期において無薬区よりも有意に改善した
(pく0.05)。
4) 血液検査:体重30kg時にHS-1の白血球数が他の2区よりも有意に増加した (pく0.05) が,その
他の一般検査およびヘモグ ラム、生化学検査、IgG検査では試験区間に有意な差は認められ
なかった。
5) 糞便内細菌数:腸内細菌科,大腸菌,腸球菌およびBifidobacteriumにおいて有薬区が他の2区
よりも有意に減少した (pく0.01)。
*有薬区 (10~30kgs: エンラマイシン 5g力価 + クエン酸モランテル 30ppm, 30~70kgs: エンラマイシ
ン 10g力価 + 硫酸コリスチン 20g力価 + クエン酸モランテル 30ppm)
これらの結果により、子豚期から育成期 (体重10kg~70kg) 用飼料にHS-1を2×104/g添加することによ
り,抗菌性飼料添加物と同等の成長促進効果が得られることが明らかとなった。
Ref: 兵庫農技総セ研報(畜産) Bull. Hyogo Pre. Tech. Cent Agri. Forest. Fish. (Animal Husbandry) 48,17-22 (2012)
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2030831457.pdf
4.企業養豚場での野外試験(離乳期から出荷まで飲水投与、対照区1,457頭、HS-1区1,420頭)
結果:1) 離乳舎期間増体:対照区 34.2kg/頭に対し、HS-1区は31.1kg/頭
2) 肥育舎期間増体:対照区 66.42㎏/頭に対し、HS-1区は77.19kg/頭
3) 通期増体:対照区 100.6㎏/頭に対し、HS-1区は108.3 kg/頭
4) 通期DG:対照区 604.7g/頭に対し、 HS-1区は637.7g/頭に改善
5) HS-1区でクレアチニン/尿素比を改善
6) 各日齢時、同一豚房からランダムn=6で血漿IgGとIgA濃度を測定。IgGは150日令でHS-1区で
倍量に増え、IgAは50日 令、70日令、150日令とも対照区より増えており、1.5倍以上の増加
5.ブロイラーの野外試験 (対照区・HS-1区 (2 x 10⁴/g飼料, ROSS 308 (Chunky) 各約9,000羽/鶏舎
試験場: 静岡県ブロイラー生産農場
(画像をクリックすると拡大します)
結果:1) 平均出荷体重:対照区 3040gに対し、HS-1区 3,128g に改善
2) 飼料要求率:対照区 1.97 に対し、HS-1区 1.91 に改善
3) 1日増体重:対照区 64.0g に対し、HS-1区 65.8g に改善
4) 生産指数 (PS):対照区 314.8 に対し、HS-1区 334.6 に改善
*生産指数 = (商品化率× 出荷体重) / (出荷日令 × 飼料要求率) x 100
6.超大手企業ブロイラーでの野外飼育試験(140万羽)
結果: 1) 2016年1月の無添加時の飼料要求率 1.746 から HS-1添加した2017年1月時 1.705 に0.041
改善
2) 2016年1月の無添加時の生産指数 342 から HS-1添加した2017年1月時 348 と6 改善
7.ブロイラーの絨毛頂端の上皮細胞拡大化による育成効果 (各雄16羽/区、7日令から49日令)
結果: 1) 本試験 (1〜21日:有薬飼料、21〜49日:無薬飼料、対照区、HS-1 10⁶/g飼料区、
HS-1 10⁸/g飼料区)において、対照区と比べ、増体重(線形; P = 0.019)およびG:F
(線形; P = 0.032)がHS-1の投与量に伴い増加した。
2) 対照区では3羽が腹水症で死亡したが、HS-1区では死亡が見られなかった。
3) 回腸絨毛の長さが、HS-1の投与量に伴い有意に増加 (P <0.05)した。
4) 十二指腸絨毛の頂端表面では、隆起した細胞、微絨毛のない細胞、絨毛先端が最近剥離し
た部位、そしてこれら剥離した部位に深部細胞が、HS-1区でより多く観察され、HS-1区の十
二指腸上皮細胞が急速なターンオーバーで拡大化した。
5) これらの結果、HS-1が絨毛の頂端表面の吸収性上皮細胞を拡大化し、面積を広げることで
環境ストレスに対する耐性を向上させ、ブロイラーの成長を改善することを示唆している。
Ref: Improved growth performance due to hypertrophied intestinal absorptive epithelial cells by heat-killed Lactobacillus sakei
HS-1 in broiler chickens, Duddoa Khonyoung,and Koh-en Yamauchi J. Anim. Sci. 2019.97:2066–2075
*上記以外にも採卵鶏や乳牛への投与試験実績もありますのでお問合せをいただければ、対応させていただきます。