生分解性ポリマー: γ-ポリグルタミン酸 (PGA) - 肥料用
水はけがよく、水持ちのよい土 (団粒) と γ-ポリグルタミン酸 (PGA)
枯草菌
土壌には、様々な微生物が生息し、人の腸内菌叢、口内菌叢、皮膚菌叢等と同様に土壌菌叢があります。そして生育する植物から様々な病気を引き起こす悪玉土壌微生物を抑え込んでいるのも土壌菌叢です。生育を終えた植物はやがて枯れ、他の植物の栄養となる自然のサイクルがあります。この枯草化を支援するのが「枯草菌 (Bacillus subtilis)」です。
植物細胞は強固な細胞壁で守られておりますが、この細胞壁はセルロースなどの糖や蛋白、そして脂肪等で複雑な構造をしておりますが、これ等を破壊・分解するには土壌細菌が産生するセルラーゼ等の分解酵素必要ですが、これらの酵素はなかなか細胞壁に入り込めないです。 そこでこの細胞壁の隙間を広げるのが土壌細菌が産生する環状リポペプチドで他の生物の細胞膜も破壊する界面活性剤 (バイオサーファクチン) です。
枯草菌はこのバイオサーファクチンを他の細菌より多く産生するため、植物の枯草化・腐食化が加速し、植物の生育に有用なフミン酸等をより多く産生し、毛根の育成を補助し、野菜や果実等の地上茎により多くの栄養分を吸収させます。 その結果、植物の成長が加速し、野菜や果実の質を高めます。
現在、人社会で猛威を振るっている新型コロナウイルスの細胞膜 (エンヴェロープ) も界面活性剤である石鹸やアルコールで容易に破壊されるのは土壌微生物と同じする仕組みです。
納豆菌とγ- ポリグルタミン酸 (PGA)
枯草菌の中には納豆で食されている納豆菌もあります。 この納豆菌は、あのねばねばとなるグルタミン酸が直列に繋がったγポリグルタミン酸 (PGA) を産生します。 このPGAは大量の水を吸収しますが、周りが乾燥すると吸収した水を放水する可逆的な水分子吸収樹脂であり、自然に分解するバイオポリマーでもあります。 そしてこのPGAの役割の一つが団粒の造成です。団粒とγ- ポリグルタミン酸 (PGA)
土壌は岩石や礫の破片からなっており、礫片(2ミリ以上)、砂片(2~0.02ミリ)、シルト粒(0.02~0.002ミリ)、粘土(0.002ミリ以下)があり、これらが混在する場合も多くあります。これらの破片には腐食コロイドと呼ばれる土壌中の陽イオン、粘度鉱物、腐食などの有機物、ミミズや微生物、植物根の分泌物等が含まれていて膠着力が強く、納豆菌が産生する粘度の高いPGAはさらにその膠着力を高め、団粒と呼ばれる径1ミリメートルないし0.5ミリくらいの球状の集合体をつくります。
この団粒は乾燥時にも容易にはほぐれません。 球形のほかにパン屑のような不定形の塊や、角張って比較的大塊をなすものもあります。 この団粒と団粒の間には大きなすきまを有しているため、透水性が高く、また過剰の水分が排除され易い構造です。 そして団粒内部にあるPGAが水分を保水するため、団粒内部の微細なすきまに適度の水分が保たれ、保水性のよい土壌となります。 またこの隙間には空気が入り込みやすく、手がサクッと入るほど、ふかふかした土となり、植物の根毛が育成しやすくなり、耕運機などの耕作作業も容易になります。
そしてこれら団粒表面には好気性菌が、内部には嫌気性菌が常在することで、植物の育成に適した安定した土壌菌叢となります。 こうして「水はけがよく、水持ちのよい土(団粒) にPGAが深く関わっております。
肥料用 PGA 25%粉末製剤
微生物発酵で作られた水溶性、生分解性、非毒性のバイオポリマー γ-ポリグルタミン酸 (PGA)を、肥料添加用にでんぷんで希釈した25% 粉末製剤です。肥料添加でのPGAの機能
- 減肥効果と収穫改善効果: 例:施肥量の20%減量、25%収穫増
- 保水・保肥効果: PGAの高分子網目構造が水や肥料を保持。
- 微量元素の吸収改善効果: 硫酸塩、シュウ酸塩、リン酸などの沈殿を防ぎ (金属キレート媒体)、リンカルシウム/マグネシウム・微量元素をより効果的に吸収、根の成長を促進、ストレス耐性や耐病性を強化
- 土壌改良(団粒化): PGAの吸水膨張と水分放出による収縮が定期的に繰り返され、固い土壌に細かい空気の隙間が増加、さくさくした土壌の団粒化を促進
- 土壌pHの均衡: 陰イオン・陽イオンの交換バランスを双方向で調節。
- 作物の品質向上: 幅広く栄養素の効果を大幅に改善し、作物の質を向上
肥料添加への実例効果
- 相乗的肥料の利用率を30〜35%から40〜50%に改善
- 肥料の平均利用率を8%改善
- 作物の平均収量を10〜25%改善 (根茎作物の場合は30〜60%増加する可能性)
ポリグルタミン酸の液肥への添加効果
1) 窒素蓄積効果 (チンゲンサイの茎と葉)施肥量 | 1/3 施肥量 | 1/2 施肥量 | 3/4 施肥量 | 標準施肥量 | ||||||||
PGA | 窒素 % |
生産高 g |
総吸収量 mg |
窒素 % |
生産高 g |
総吸収量 mg |
窒素 % |
生産高 g |
総吸収量 mg |
窒素 % |
生産高 g |
総吸収量 mg |
0mg/L | 4.66 | 0.26 | 12.12 | 4.78 | 0.28 | 13.38 | 5.32 | 0.41 | 21.81 | 6.00 | 0.55 | 33.0 |
50mg/L | 5.07 | 0.38 | 21.66 | 5.32 | 0.40 | 21.28 | 6.67 | 0.49 | 32.68 | 7.79 | 0.58 | 45.18 |
100mg/L | 4.33 | 0.44 | 19.05 | 6.12 | 0.50 | 30.60 | 7.44 | 0.52 | 38.69 | 6.05 | 0.60 | 36.30 |
2) リン蓄積効果 (チンゲンサイの茎と葉)
施肥量 | 1/3 施肥量 | 1/2 施肥量 | 3/4 施肥量 | 標準施肥量 | ||||||||
PGA | リン % |
生産高 g |
総吸収量 mg |
リン % |
生産高 g |
総吸収量 mg |
リン % |
生産高 g |
総吸収量 mg |
リン % |
生産高 g |
総吸収量 mg |
0mg/L | 1.29 | 0.26 | 3.35 | 1.45 | 0.28 | 4.06 | 1.58 | 0.41 | 6.48 | 1.65 | 0.55 | 9.08 |
50mg/L | 1.64 | 0.38 | 6.23 | 1.72 | 0.40 | 6.88 | 1.84 | 0.49 | 9.02 | 2.03 | 0.58 | 11.77 |
100mg/L | 1.52 | 0.44 | 6.69 | 1.83 | 0.50 | 9.15 | 1.69 | 0.52 | 8.79 | 1.59 | 0.60 | 9.54 |
2) カリウム蓄積効果 (チンゲンサイの茎と葉)
施肥量 | 1/3 施肥量 | 1/2 施肥量 | 3/4 施肥量 | 標準施肥量 | ||||||||
PGA | カリ % |
生産高 g |
総吸収量 mg |
カリ % |
生産高 g |
総吸収量 mg |
カリ % |
生産高 g |
総吸収量 mg |
カリ % |
生産高 g |
総吸収量 mg |
0mg/L | 5.05 | 0.26 | 13.13 | 5.10 | 0.28 | 14.28 | 5.51 | 0.41 | 22.59 | 6.20 | 0.55 | 34.10 |
50mg/L | 5.28 | 0.38 | 20.06 | 5.32 | 0.40 | 20.92 | 5.60 | 0.49 | 27.44 | 6.34 | 0.58 | 36.77 |
100mg/L | 5.40 | 0.44 | 23.76 | 6.15 | 0.50 | 30.75 | 5.78 | 0.52 | 30.06 | 6.85 | 0.60 | 41.10 |
結果:;PGAの液肥への添加は、チンゲンサイの茎や葉への窒素、リン、カリウムの蓄積に有効であり、作物収量も増加しました。 これはPGAが窒素、リン、カリウム肥料の作物への吸収取込を促進したことを示唆しています。
ポリグルタミン酸の混合肥料への添加効果
成分- PGA
- Ca + Mg + Zn + B
- 生菌剤
- 水と肥料の保持、徐放、および肥料効率の30%〜40%の向上
- ストレス耐性 (耐凍性、干ばつ耐性、連作耐性)で、害虫や病気への抵抗力を向上
- 酸・アルカリの均衡を取り、土壌改良してさくさくした団粒をつくるオーガニック細菌肥料への転換
- 発芽、根張りを促進し、苗を強化し、光合成を促進することで作物の成長を刺激
- カルシウムやマグネシウムなどの中量・微量元素を加えることで果実の変形を減らし、作物の品質を向上
- 収量を12%〜25%増加させ、根菜類の収量を30%以上増加
処方別使用量
1) 顆粒: ベース肥料として使用
- 小麦 / ピーナッツ: 150〜300kg / ha
- トウモロコシ: 150kg /ha
- 野菜: 600〜750kg /ha
- 果樹: 0.2〜0.5kg /木
- 換金作物: 1回目の灌漑 150kg /ha。 2回目以降の灌漑 45〜75kg /ha
- 換金作物: 1回目の灌漑 45〜75kg /ha。 2回目以降のの灌漑 15〜30kg /ha
イチゴの根張り
越冬や霜害防止の使用例
- 越冬肥料: 複合肥料、有機肥料、微生物肥料など肥料製品へのPGA添加により発芽、開花、結実を促進し、晩春の寒さによる損出を防止します。
- 発芽肥料: PGAは有機水溶性肥料として噴霧またはフラッシングにより施肥できます。 春先に発芽する約15〜30日前に使用することで果樹を丈夫にし、晩春の寒さに耐えることができます。
- 緊急時の使用: 天候が急激に変化したり、凍結による損傷が発生した際、PGAを大量かつ高濃度で散布することで凍結による損傷を減らします。
PGAには無限の可能性があります。。。
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